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血液型…A型/ 星座…牡牛座/ 性格…頑固な保守派/ 得意なこと…セリフの暗記/ 苦手なこと…手先を使うこと、音符を読むこと、整理整頓/ 口癖…あら、まあ!

2009年11月10日火曜日

旅のお話~越後湯沢編~


旅の3日目、朝起きてカーテンを開けてびっくり。
夜は何も見えなかった窓の外には紅葉の山。
そうか~、外はスキー場だったんだぁ。どうりで明かりが全く見えなかったわけだ。
紅葉なんてしばらく見ていないなぁ。。。
なんだか人間の心が戻ってきたような気がする。。。やっぱり自然を見る時間って、必要なんだな。

ホテルでの朝食後、チェックアウトをして駅へ向かいました。途中の道端に咲いているコスモスが秋を主張していました。

一旦駅まで行ったんですが、このまま帰るのももったいないので、ガイドブックに出ていた滝を見て、町の温泉施設に行ってお風呂に入ろうと思い立ちました。
邪魔な手荷物は駅のコインロッカーに預けて、さあ出発!
目指すは「不動の滝」。山を登っていくと、案内板をビデオカメラで撮っていたおじさんにいきなり話しかけられました。
「山の上はもう入れなかったよ」
「はい??」
「ロープウェーで行ってみたけど。もう上に行った?」
「いいえ」
「あっちはねえ、もう雪が降ったから通行禁止なんだって。せっかく上まで上がったのに」
「そうなんですかぁ」
私はロープウェーに乗る気などなかったのですが、とりあえず相槌を打ったという感じ。
目指す場所が同じなので、その後の道はおじさんと一緒になりました。
知らない人と自分から話すタイプではない私は、尋ねられたことに答えるだけなんですが、話すうちにおじさんは50年近く前、私が子供のころに住んでいた町でケーキ屋をしていたということがわかりました。
「私はね、もう75歳なんだよ。私があそこにいたときには、まだあんたは生まれてないね」
75歳!そうは見えません!!(せいぜい65くらいかと思っていました。だってすごくお元気だし、足腰がしっかりしているし。話し方もメリハリがあるし)
私の人生、このおじさんの半分もありません…。
滝に向かう途中の山は、やはり紅葉が綺麗。ロープウェーで上がったところは、すでに落葉しているそうですが、山の途中は今が見ごろ。
おじさんは家に帰ったらビデオカメラをテレビにつなげて、子供や孫に映像を見せるんだと言って、映画のような素晴らしいアングルで映像を撮りながら進んでいきます。

「7年前にね、奥さんが亡くなったんだよ。それまでは二人で旅をしていたから、急に一人になってさびしくてね。友達と旅をしようと思ったら、友達はダメなんだよ。意見が合わなくて。みんなで行きたいところが違うんだから。だから一人がいい。最近はそう思うね。一人で旅をして、こうして知らない人と知り合いになるのが楽しい。でもね、奥さんを連れてきているんだよ、ほら」
とウェストポーチの中から、亡くなった奥さんの写真を出してくれました。

いい夫婦だ…。
きっと奥さんは幸せだったんでしょうね。
不動の滝は、私が想像していたものよりも大きく、滝壷の近くから見上げると結構迫力がありました。
おじさんのカメラワークの真似をして、私も携帯のビデオ機能で下から上へ滝を撮ってみましたが、やっぱり普通のデジタルカメラには敵いません。大して迫力出ず。残念。

さっきも書いたように、私はこの後、町の温泉施設に行ってお風呂に入ろうと思っていたのですが、おじさんが「お昼を一緒に食べよう。お米がいいから、おにぎりが美味しいんだよ」と言うので、一緒に行くことにしました。
だって、私が一人だったら、コンビニのサンドイッチで済ませかねないんだもの。
新潟と言えば「米」ですよね。米と水が美味しいところは「お酒」も美味しい。
私が食事だけの注文でしたが、おじさんは「八海山」も頼んで、ご満悦。私にも注文しようとしたので、断ったんですが、食事の間中、何度も勧められてしまったので昼間からではありますが、私も八海山を1杯。
…酔った。1杯で。
山を歩いた後だからかな。

食事中、おじさんがいきなり私に「今の総理大臣って、何人目か知ってる?」と言ってきました。
何人目?!
「…第…何代って言っていましたっけ?」
と私が考えていると、
「何代じゃなくて、何人目。ほら、一人で何回もやっているのがいるから、そういうのは1人なの」
「さあ…。受験のころに覚えましたが、もう覚えてないですねえ。伊藤…黒田…」
「ちょうど60人だよ」
そしておじさんは伊藤博文から鳩山由紀夫まであっさり言ってのけました。ホントだ、60人だ。
「何か覚えていないとボケちゃうからさ。じゃあね、天皇は?」
「天皇?神武天皇からですか?!」
「そう」
「ええっと…神武、綏靖、安寧、懿徳、孝昭、孝安、孝霊、孝元、開化。ここまでです。小学生の時に覚えようとして、ここで挫折したんです」
「なかなかやるじゃない」
お褒めいただいたのは嬉しいのですが、おじさんが今の天皇までの名前をすべて言うのを聞きながら、私はただただびっくり。
その後、おじさんのボケ防止のための暗記の披露は京浜東北線と山手線の駅名へと移りました。
これには付いて行きましたよ!私も言えますもん。(ただし、京浜東北線で私が言えるのは田端から大船まで。大宮の方はよくわかっていない)
「私がこういうことするとね、周りには馬鹿にされることが多いんだよな。付き合ってくれたのはあんたくらいだ」
…でしょうね。引かないで聞いていた自分が珍しいと思います。

そんなこんなで時間が経ち、これからローカル線で東京へ戻るには時間が遅くなってしまいました。
お酒も飲んじゃったし。
仕方がないので、越後湯沢からは新幹線で帰ってきました。

普段、知らない人と仕事以外の場で話すことは嫌うんですが、山の紅葉効果でしょうか。こういうことが人間らしさのように思えました。
去年の東北一人旅同様、ロボットから人間になった心持で帰ってきたのでした。

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